こなさんち

しがないフリーランスエンジニアの備忘録。

簿記3級 勉強記録 #15

貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)の設定

貸倒引当金の設定を理解するための前提知識

期末に売上債権の残高がある場合、翌期に貸倒れが生じる可能性がある。(代金を回収できない可能性)
会社は長く経営活動をするなかで、どれくらいが貸倒れそうなのかを見積もれるようになる。
この見積額を貸倒見積高といい、通常は売上債権の期末残高に実績率を乗じて計算する。

貸倒見積高 = 売上債権の期末残高 × 実績率

実績率は、過去の貸倒れの実績に基づき算定する。問題で与えられる。

期末の売掛金勘定の残高10,000円、実績率2%における貸倒見積高

→ 100社に100円を売り、その2%が倒産するという前提。

貸倒見積高は200円で、回収できない見込み。回収見込額は9,800円で、それが回収できる見込み。

つまり、翌期の損失額を「見込めている」ので、翌期で計上するのではなく、当期にて損失額を見込んで計算して計上する。

実際は損失が見込めているので、この例のまま決算すると売上が10,000円として計上されるが、200円は本来損失額として見込めるのであれば、過剰な売上になってしまう。

この損失額は「期中の取引」ではないので決算整理で行う。

貸倒引当金の具体的処理1

期末の売掛金勘定の残高10,000円、実績率2%における貸倒見積高

本来、来年やるはずの仕訳は、

(借)貸倒損失(費用 +)200、(貸)売掛金(資産 △) 200  

しかし、決算時点では見積であり、実際に貸倒れたわけではないので、借方を「貸倒引当金繰入」勘定(費用)、貸方を「貸倒引当金」勘定(資産の控除項目)とする。

(借)貸倒引当金繰入(費用 +)200、(貸)貸倒引当金(資産控除 +) 200  

財務諸表

貸倒引当金は、「減価償却累計額」と同じく資産の控除項目であり評価勘定。B/Sには資産の控除として資産から引く項目として計上する。

貸倒の処理(期中仕訳)

当期に貸倒れた場合は、決算を迎える前なので貸倒引当金を設定していない。なので、貸倒損失の費用勘定の発生となる。

決算を跨いで貸倒れた場合は仕訳が異なってくる。これが先程の貸倒引当金繰入

前期販売分の売上債権に関しては、前期の決算で貸倒引当金を設定している。そのため、借方は「貸倒引当金」の資産控除勘定を取り崩す仕訳を行う。

前期分の貸倒れ額 が 貸倒引当金以下の場合

前期販売分の売掛金160円の貸倒れが発生した。  
なお、前期に貸倒引当金を200円に設定している

この場合は

(借)貸倒引当金(資産控除 △)160、(貸)売掛金(資産 △) 160

前期分の貸倒れ額 が 貸倒引当金を超過している場合

前期販売分の売掛金250円の貸倒れが発生した。  
なお、前期に貸倒引当金を200円に設定している

この場合は

(借)貸倒引当金(資産控除 △)200、(貸)売掛金(資産 △) 250
(借)貸倒損失(費用+)50

貸倒引当金の具体的処理2(当期決算の差額補充法)

貸倒れた額が、前期の貸倒引当金未満の場合、貸倒引当金を相殺したあまりの貸倒引当金が残っていることがある。

前期販売分の売掛金160円の貸倒れが発生した。  
なお、前期に貸倒引当金を200円に設定している

この場合は40円の貸倒引当金が当期分として残っている。

決算整理前において「貸倒引当金」(資産控除)勘定の残高が存在する場合がある。この場合の決算仕訳は、該当残高と貸倒見積高の差額についてのみ行う。この計算方法を差額補充法という。

貸倒引当金繰入=貸倒見積高 - 貸倒引当金の決算整理前残高

40円は見積誤りであり、前期に計上した費用が過大であったため差し引き(相殺) を行う。