簿記3級 勉強記録 #17
経過勘定
経過勘定を理解するための前提知識
他社のために行うサービスの事を役務といい、役務の提供を受けた場合は現金を支払うため費用が発生し、逆に役務を提供した場合は現金を受け取るため収益が発生する。
役務に関する損益項目(費用・収益)のなかには、一定期間にわたって継続して発生する(期間の長さに応じて決まる)ものがある。
家賃は1ヶ月で1ヶ月分、12ヶ月で12ヶ月分、と期間の長さに応じて支払う(受け取る)金額がかわる。
継続的な役務提供に関する収益と費用の例
費用:支払家賃、支払地代、支払利息、給料、保険料
収益:受取家賃、受取地代、受取利息
いずれも「経過」とともに変わっていく内容。
前払費用:前払い・前受の具体的処理1
X1年度(X1年4月~X2年3月)の7月1日に建物の貸借契約を結んだ。 賃借料は100円であり、1,200円を7月1日に一括で支払う。
この場合、7月1日から1ヶ月間借りる。但し、12ヶ月の計上ではなく、決算日のX2年3月31日までの9ヶ月間を計上することに注意。
役務のP/L計上額は、当期の経過分のみ。
とはいえ、期中の記録分は12ヶ月分払ったので1,200円の費用になる。
決算整理では、この1,200円を当期の900円と翌期の300円に分ける作業が必要になってくる。
3月31日の決算は、300円をマイナス計上する。
借方:前払家賃(資産+)300、貸方:支払家賃(費用△)300
この300円は翌期分であるため当期分から控除する。翌期分を前払いしたことによって生じた、「翌期に役務の提供を受ける権利」を意味する資産が前払家賃。
翌期には、前払い家賃の300円が費用として発生し、前払家賃はなくなる。
借方:支払家賃(費用+)300、貸方:前払家賃(資産△)300
費用を打ち消して資産を増やすことを「繰り延べる」という。
この繰り延べた300円は翌期の4月1日に逆仕訳を行う。
前受家賃
前払いの「受け取る」バージョン。
1,200円を受け取ったが、当期分は900円なので、300円分を打ち消す。
受取家賃は収益で、300円翌期分減るので、
借方:受取家賃(収益△)300、貸方:前受家賃(負債+)300
となる。前受家賃勘定については「翌期に役務を提供する義務がある」という意味での負債。
前受地代
前受家賃と同じで「前もって受け取った」ので提供する義務が発生する。
未収・未払いの具体的処理
先程までの例は「前もって支払った」または「前もって受け取った」のに対し、今回は「後で支払う」または「後で受け取る」。
違いはあれど、共通することは「当期の分のみ決算整理で計上する」ということ。
つまり、差分は別途勘定科目で増やしていく。
後払いの場合、期を跨いでの契約期間となるため、仕訳としては期中の支払はないということになる。
しかし、経過した当期分は計上する必要がある。
そのため、例えば当期分が900円なら
借方:支払家賃(費用+)900、貸方:未払家賃(負債)900
となる。
翌期に支払う義務があるので負債。
なお、前払い・前受のように「前持った」勘定は繰り延べ計上といったが、 今回の「後で払う」「後で受け取る」は見越し計上という。
財務諸表
前払家賃(資産)、前受家賃(負債)、未払家賃(負債)、「未収家賃」(資産)など、これらを総称して経過勘定という。
経過勘定は勘定科目と表示科目が違う。
勘定科目(T/B) | 表示科目(財務諸表) |
---|---|
前払家賃、前払地代など | 前払費用(資産) |
前受家賃、前受地代など | 前受収益(負債) |
未払家賃、未払地代など | 未払費用(負債) |
未収家賃、未収地代など | 未収収益(資産) |
未払金と未払費用(経過勘定)の違い
未払金も未払費用も義務なので負債であることは共通点
土地など、渡した時点で支払う義務(負債)が発生する。
これは商品が引き渡し済みであり、即座に負債が発生する。
これを確定債務といい、確定債務のときは未払金。
対して、今回の経過勘定のように、商品を渡しきっていない、使い切っていないなど期を跨いだ場合は引き渡し済みとは癒えないので、仕訳状は即座に負債は発生しない
しかし、P/Lを作る上で当期分は計上しなければならないのででてくるのが経過勘定。